2017年12月7日木曜日

『トランスアメリカ』

先日の Bread and roses に続いて、
ロスを舞台とした映画をもう1本見てみました。

『トランスアメリカ』(2005)

です。
ただこの映画の場合、
「ロスを舞台」というのは不正確で、
ロードムーヴィーの始まりと終わりがロスだ、
と言うべきでしょう。

https://www.youtube.com/watch?v=tK9LsGXTw9I

これは、設定を聞いただけで、
ちゃんと作れば面白くなるのは間違いなし、と思いました。

ロスで一人暮らしをしているブリーは、
1週間後に性転換手術を控えています。
ついに、生まれてこのかた願い続けてきた、
女性になれる日です。
でも、そんな盛り上がっていたブリーのもとに、
NYの警察から一本の電話があります。
あなたの息子さんを預かっているんですが……?
ああ、なんと。
それはまだブリーがスタンリーだった頃、
1度だけ付き合った夜にできた子だったようなのです。
しかも、その子の母親は亡くなっていて……。
ブリーは当初スルーしようとしますが、
彼(女)の手術にハンコを押すべきセラピストが、
その子に会ってこないならハンコは押せない、というのです。
仕方なく、ブリーはNYへ。
でも、もう身も心も99%女性になっているブリーには、
自分が父親だとはどうしても言えず、
そして二人は、やがて、ロスを目指すことになるのです……

もちろん、肝にあるのはLGBTの問題です。
でも、そればかりでなく、
先住民のことや、ユダヤ人のこと、
つまり「アメリカ」のさまざまな顔が見え隠れします。
(トランスアメリカ、とは、だから、
トランスジェンダーのアメリカ、と、
アメリカ横断、の、
二重の意味を背負っているのでしょう。)

アメリカ映画ですが、消費的でなく、
いい映画だと思いました。
(でもだから、アカデミー賞は候補どまりだった!?)